法司委員会と利害衝突防止法 (法律新聞、2023年6月19日付)
弁理士 金明信 (元 大韓弁理士会 会長)
2022年5月、弁護士が代理人として選任されている特許侵害訴訟事件において事件当事者が願うと弁理士を追加して訴訟代理人として選任することができるが、弁理士は常に弁護士と一緒に法廷に出席しなければならないという弁理士法改正案が国会の産業通商資源委員会を通過し、現在法司委員会に係属中である。これと同じ法案が2006年と2008年にも国会の産業通商資源委員会を通過し法司委員会に回付されたが、法司委員会はこれらの法案を審議もせず会期満了で毎度廃棄させてきた。法司委員会はこれまで税理士法、関税士法、公認労務士法および公認仲介士法などの改正案が関連常任委員会を通過したが、弁護士職域に少しでも不利益になると判断されれば、その都度法案の墓場であるといわれる第2小委員会に回付させた後、審査もせず会期満了でこれらの法案を廃棄させてきた。
外国では立法過程で国会内の立法調査処のような機構で法体系や字句に問題があるかを事前に検討するため、我が国のように常任委員会を通過した法案に対して法司委員会が再び審議せず、常任委員会を通過すれば直ちに国会本会議にその法案を付議している。我が国では法司委員会があたかも上院のような役割をしながら、弁護士職域に関連した法案はどんな内容であれ法体系と字句審査をするという口実で越権行為を繰り返してきた。このような法司委員会の越権行為を是正させるために2021年9月に改正された国会法第86条第5項では「法司委員会は回付された法律案に対して法体系と字句の審査範囲を外れて審査してはならない」という強行規定を導入したりもした。
一方、1997年から弁理士試験に民事訴訟法が主観式科目として採択され、1996年から弁理士たちは毎年民事訴訟実務研修教育を受けてきただけでなく、1998年から特許裁判所で特許審決取訴訟を代理してきたため、弁理士が特許侵害訴訟を代理する準備ができていることがすでに確認されており、特許侵害訴訟の当事者である産業界はもちろん科学技術界でも弁理士の特許訴訟代理を長期間念願してきた。欧州27ヵ国、英国、日本および中国が弁理士に特許侵害訴訟代理を認めて久しいが、現在国内の特許侵害訴訟は弁護士と弁理士が一緒に働いている大型ローファームが事実上独占しているため訴訟費用が途方もなく高くて中小企業が特許侵害訴訟に巻き込まれると高い訴訟費用のため応訴をあきらめているのが実情である。しかし弁理士に追加で訴訟代理を許すと中小ローファームの弁護士も代理できる機会が生じ、訴訟費用は相当に安くなると思われる。民事訴訟法の法理を察し見ても、我が国と同じ法体系を持つ日本でも20年余り前から弁理士が訴訟代理をすることが弁護士代理原則の例外として法的問題がないことが確認されたにもかかわらず、国会法司委員会の弁護士出身議員の反対により2023年2月、第2小委員会に回付させて事実上法案を廃棄させようとしている。しかし、国会法第155条に規定されたいかなる懲戒規定にも国会法第86条第5項違反に関する規定がないことは立法不備であるだけでなく、国会議員の越権行為により憲法上保障された国民の基本権が侵害されたため、大韓弁理士会は憲法裁判所法第68条に基づき、憲法訴願審判を請求することができるだろう。
また、2021年5月に改正された国会法第32条の4、第32条の5および第32条の6に基づき、弁護士資格を持つ法司委員は特許侵害訴訟で弁理士の追加訴訟代理人資格を規定した弁理士法改正案に対して公職者の利害衝突防止法と関連国会法により当然法案審査の忌避を申し立てたり、発言や表決に参加してはならず、これに違反すれば国会法第155条により倫理特別委員会の審査を経て懲戒対象となるよう規定している。したがって、このような手続きを経ずに2023年2月、法司委員会が弁理士法改正案を第2小委員会に回付させる決定をしたため、同議決に参加した弁護士出身の国会議員は当然懲戒対象にならなければならない。しかし、もし懲戒手続きで懲戒されなければ、これは憲法訴願審判請求の対象になるだろう。
法案が国会の関連常任委員会を通過したにもかかわらず、法司委員会が法体系と字句審査をするという口実で法案を不当に廃棄させる事態を防止するために、外国の国会のように法条文字句修正業務を国会立法調査処で事前に遂行させたり、それ以前でも弁護士出身の法司委員の数を過半数を超えないようにして法司委員会運営の弊害を必ず是正しなければならない。国会の法司委員会はひたすら弁護士の職域だけを考慮して国際的な潮流に背を向けるのではなく、我が国でも展開される先端技術特許訴訟において国家競争力を勘案して改正された国会法と公職者の利害衝突防止法を遵守し、今回は弁理士法改正案を必ず通過させてほしい。
|