2009年7月1日施行の改正特許法において、補正範囲の制限要件が緩和されました。よって、現行法上の補正範囲と比較して改善された点をお知らせするように致しますので、ご参照下さい。 現行の韓国特許法上、補正の時期および補正の範囲は下記の表に示されたとおりであります。 補正の時期 | 補正の範囲 | 不適法な補正の取扱い | 発明の詳細な説明 | 特許請求の範囲 | ①特許決定の謄本送達前 ②最初拒絶理由意見書提出期間内 | ・新規事項追加の禁止 | 拒絶理由 | ③最後拒絶理由の意見書提出期間内 ④特許拒絶決定不服 審判請求日から30日 以内 | 新規事項追加禁止 | ・新規事項追加の禁止 ・ⅰ)特許請求の範囲の 減縮、ii)誤った記載 を訂正する場合、ま たはiii)明らかでな い記載を明確にする 場合に該当すること ・特許請求の範囲を 実質的に拡張、変更しないこと ・特許請求の範囲に 記載された事項が 特許出願をした時 に特許を受けることができること | 補正却下 |
上記の表に示されているように、特許決定謄本送達前の補正および最初拒絶理由通知後の補正は新規事項の追加でない限り、特許請求の範囲を拡張(最初明細書に記載された事項を根拠とした)することを含めて、自由に補正することが可能であります。 ところが、最後拒絶理由通知後の補正または特許拒絶決定不服審判の請求日から30日以内の補正は、その補正範囲が厳格に制限されます。
上記のような形式的な補正範囲の制限により、特許請求の範囲を減縮する補正の場合にも特許請求の範囲を実質的に変更したという理由により、その補正が認められずに結局は特許が受けられなくなるという問題点がありました。 例えば、次のような補正は特許請求の範囲の減縮であるにも拘わらず、特許請求の範囲を実質的に変更してはならないという形式的要件に違反して、その補正が認められませんでした。 補正前 [請求項1]AおよびBを含む組成物 補正後 [請求項1]A、BおよびCを含む組成物 上記補正後の請求項1はA、BおよびCを含む組成物に補正されたものであって、これは特許請求の範囲の減縮に該当しますが、特許請求の範囲を実質的に変更したという理由により適法な補正として認めらませんでした(補正前の特許請求の範囲にはA、BおよびCを含む組成物の記載がないためである)。 したがって、出願明細書にA、BおよびCを含む組成物を開示しているとしても、上記のような補正は実質的な変更禁止の原則に違背するため補正全体が却下され、補正前の請求項の基準で審査がなされて結局は拒絶理由を解消できなかったことを理由として拒絶決定が下されました。 すなわち、現行の特許法の下では最後拒絶理由通知および特許拒絶決定に対応した補正については特許請求の範囲を減縮して拒絶理由を解消することができる場合であっても特許請求の範囲を実質的に変更したという形式的な要件に違背する場合、その補正が却下されました。 上記のような補正範囲の制限の問題点に対する改善要求を受け入れて、今般の改正特許法(2009年7月1日施行)では補正範囲の制限を緩和しました。 改正法は最後拒絶理由通知後の補正または拒絶決定不服審判請求後の補正範囲の制限要件のうち、“特許請求の範囲を実質的に拡張または変更してはならない”という要件を削除することにより、特許請求の範囲を減縮する場合は実質的変更と見なさないことによって特許出願人が特許請求の範囲を自由に減縮補正することができ、拒絶理由を簡単に解消することができるようにしました。 改正特許法は2009年7月1日に施行され、2009年7月1日以後に補正書を提出する事件は補正範囲の制限が緩和されます。 したがって、2009年7月1日以降には最後拒絶理由通知および特許拒絶決定に対応した補正を行うのにおいて、新規事項の追加に該当しない限り自由な特許請求の範囲の減縮が可能であり、補正が適法であるか否かの判断に対する負担が緩和されるものと期待されます。
また、2009年7月1日以前に最後拒絶理由通知および特許拒絶決定が送達された場合にも、期間延長(最後拒絶理由通知の場合4ヶ月の期間延長が可能、拒絶決定の場合2ヶ月の期間延長が可能)の制度を活用して、できるだけ2009年7月1日以後に補正書を提出することにより改正特許法上における補正範囲の緩和の恩恵を受けることが有用であるものと思われます。 |