知識財産処の設立が必要である。 (2022.2.3.付 日刊電子新聞 国家知識財産委員会 顧問 金明信 寄稿)
コロナ禍と米・中間の勢力葛藤で物騒がしくなっているこの頃である。コロナワクチン技術、技術覇権戦争と戦略資産確保、人工知能(AI)、ビッグデータ、メタバース、仮想通貨、デジタル転換(DX)が話題になる中で、その裏面には常に知的財産イッシュが潜在されているデジタル産業時代に生きている。 産業財産権と著作権は、もはや別々に取り扱うべきの名分がない。 知的財産政策を樹立する際にもこれらといっしょに検討することがシナジー効果がある。 同じ脈絡で、2020年10月、すべての産業財産権と著作権団体が意を共にして、韓国科学技術団体総連合会や韓国芸術団体総連合会のように知識財産団体総連合会を法人として設立したことは、時宜に適したことであった。
2020年にスイスの国際経営開発大学院が発表した全世界63カ国の知的財産政策の執行に対する評価によると、韓国は国内総生産(GDP)対比研究開発(R&D)投資比率が2位であった。 特許出願件数は4位だが、政府効率性は34位だった。 李洛淵(イ·ナクヨン)、丁世均(チョン·セギュン)両元首相も、国家知識財産委員会 委員長の歴任当時の経験に基づき政府組織法を改正し、知識財産処で産業財産権と著作権を同時に取り扱うべきだという政策を発表した。その後、知識財産団体総連合会、(社)知識財産フォーラムおよび工学翰林院などが主催したセミナーだけでなく、尹鍾龍(ユン·ジョンヨン)元国家知識財産委員会 委員長と鄭尚祚(チョン·サンジョ)現委員長も知識財産処 設立の必要性を強調した。
AIに関して現在11の省庁が相互意見の調整なしに法の制定案と改正案を国会に提出している状況から見ても、知的財産政策に選択と集中をすることができないのが実情である。 市場で取引されるコスピ(KOSPI)とコスダック(KOSDAQ)の株式金額よりももっと多い金額が仮想通貨に投資されている。仮想通貨はまだ合法的な財産ではないにもかかわらず、政府は課税を検討する。それでは仮想通貨の問題をどの省庁で担当するのがいいだろうか。
気候変動枠組条約の問題は、単なる環境だけの問題ではない。2023年からグローバルデジタル税制の導入しようとして、136ヵ国が最終合意した。欧州連合(EU)は2035年から炭素国境税の施行を検討中であるが、炭素国境税は単なる税法だけの問題ではない。 このように激変する知的財産の生態系を勘案して、近づいてきたデジタル産業時代に国家長期生存戦略を能動的に樹立するには、既存の分節された知的財産政策の機能のみをバラバラ遂行している特許庁(産業財産権)と文化体育観光部(著作権)の組織ではシナジー効果が期待できない。 英国、カナダ、スイス、シンガポール、ベルギー、ハンガリー、タイ、ルクセンブルクのように知識財産処の設立が求められる。1974年に国連の傘下機関として創設された世界知的財産機構(WIPO)も産業財産権と著作権をいっしょに取り扱っている。 AI、地理的表示、遺伝資源、伝統知識、植物新品種、パブリシティ権などを含めた新知的財産政策に対する関連省庁間の立場の違いを考慮しても国務委員級(大臣)知識財産処の設立が切実だ。
国家知識財産委員会が大統領直属の機構であるにもかかわらず、その議決事項が大統領に報告されない点は、知識財産基本法を改正して是正しなければならない。2008年、米国の知的財産資源と組織優先化法に基づき、知的財産執行調整官がすべての知的財産政策に関して大統領に直接報告することを参考にし、大統領府に知識財産秘書官制度の新設を建議する。小さいけれど強い国を作るための我々の賢明な選択だけが残っている。 |