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タイトル知識財産を専担する「統合コントロールタワー」を作ろう
日付2021-07-19

知識財産を専担する「統合コントロールタワー」を作ろう

 

分かれた政府組織·機能では限界

英国·カナダでシナジー経験を学ぶべき


新型コロナウイルスと米中覇権葛藤の裏面に共通している問題が知的財産(IP)の問題である。知的財産の問題は新型コロナウイルスワクチン特許の一時放棄を巡った論争、米中技術覇権戦争と戦略資産確保、人工知能(AI)と仮想通貨などにも関連している。

新型コロナウイルスワクチン特許の一時放棄は全国民の保健と健康問題と直結する。米中技術覇権戦争がグローバルバリューチェーン(GVC)の再編を招き、主要国は先端技術を戦略資産化している。 人工知能と関連して11の政府部処が相互調整なしに法律案と法改正案をそれぞれ用意している。

このように知的財産の問題は特許庁や文化体育観光部 著作権局の限られた業務領域だけにとどまっているのではない。今や全国民の健康と国家安全保障に直結している。国家競争力と国家の国民に対する基本的義務の履行につながり、国政議題としての地位が高まっている。

 

急変する知的財産生態系と将来の新秩序形成に能動的に対処するには、既存の分節化した知的財産機能をそれぞれ遂行する政府組織では限界がある。従って強力な知的財産推進体系を設計しなければならない。李洛淵(イ·ナグヨン)、丁世均(チョン·セギュン)の両元国務総理が次期政権で政府組織法を改正する場合、「知識財産処」を設立するという政策を並んで提案し、鼓舞的である。両元国務総理は知識財産基本法に基づいて新設された大統領直属機構である国家知識財産委員会 共同委員長を歴任する過程で、産業財産権·著作権·新知的財産が一つのコントロールタワーの下で一貫した企画と政策で管理·調整·執行すべき必要性を痛感したはずである。

 

実用的要素と芸術的要素を同時に備えた産業デザイン製品は、デザイン保護法上のデザインであると同時に著作権法上の応用美術著作物である。コンピュータプログラムも機能的著作物として著作権法上の保護対象であるが、コンピュータプログラム関連の発明は特許法上の保護対象でもある。半導体集積回路の配置設計は、それ自体が半導体配置設計権の対象であるが、関連する発明は特許法上の保護対象にもなる。

 

のみならず、時代の変化に伴って新しい概念の新知的財産も続々と登場する。例えば人工知能産出物、データベースとデータセット、植物新品種と遺伝資源、トレードドレスとドメインネーム、パブリシティ権、営業秘密、技術秘訣、ブロックチェーン技術と融合環境関連ビジネスモデルも続々と登場する。ところが、政府の政策は統合的コントロールタワーの不在で混乱が生じている。

4次産業革命とデジタル時代への転換期に能動的に対処し、知的財産大国になるには、新しいビジョンを持って総合的な知的財産計画を樹立し、執行しなければならない。このような観点からも、大臣級の知識財産処の設立が必要である。国連傘下の世界知的財産機関(WIPO)は、産業財産権に関するパリ条約と著作権に関するベルン条約を統合して運営して久しい。英国·カナダなど一部の国は、産業財産権と著作権を一つの機関で管掌してシナジー効果を得ている。

米国では「知的財産資源と組織の優先化法」が2008年に施行され、知的財産執行調整官(IPEC)がホワイトハウスの首席秘書官と同様に知的財産政策について大統領に直接報告し、知的財産執行を総括する。韓国も大統領府に知識財産秘書官を置くことを勧める。国政議題として格上げした知的財産政策に関する国家知識財産委員会の議決事項を必ず大統領に報告する根拠条文を知識財産基本法に追加しなければならない。

知識財産基本法の制定運動を主導した筆者の意見としては、基本法によって新設された国家知識財産委員会を593の政府委員会のうち一つ程度だけで扱うとすれば、知的財産大国は遼遠だろう。韓国が世界知的財産のハブ国家として跳躍するには、知識財産処を設立する決断が必要である。

 

金明信  元大韓弁理士会長


https://news.joins.com/article/24099738